今日は上映会と座談会のお知らせを改めて行います。

今日は上映会と座談会のお知らせを改めて行います。

本日12月9日(土)が、手話通訳と要約筆記の申し込み〆切となります。

ぜひ、遠慮なく気軽に申し込んでください。

座談会は、映画と関係ない話でも、ルールもテーマも決めずに行います。

これは通常の間の会と同じです。普段の間の会では、手話通訳や要約筆記の派遣は到底出来ませんので、

座談会への参加もぜひご検討ください。

ちなみに、1回目の上映後のトークでは手話通訳が決定しています。

そして、それ以外の方も早めにお申し込みください。当日では入ってもらえない可能性もないとは言えません。

わたしは、基本的に、皆さんに、わたしが面白いと思うことをお誘いすることしか出来ません。

何も決めない場という通常の活動も、それがわたしは滅法面白いと思っているからお誘いしております。

映画も実際に自分が観てこれは面白いと思った映画しか多分、上映出来ません。

自分が観ていない映画をご紹介するということは、今のところ、なんの基準もないので、わたしは出来ないでしょう。

皆さんにお集まりいただく場合、わたしは、自分の今のあり方をこのように文章にしてお誘いしています。

誰でもたくさん来てくださいというわけではありません。わたしのあり方を、なるべくしっかり皆さんに提示することが大事だと思っています。

4年ぶりに映画を上映するのも、わたしが面白いと思ったものを、自分の存在をかけてしっかり提示するということが大事であり、それにお誘いするものです。

今回、一般的にいうバリアフリー上映(わたしは、これをバリアフリーだと思わないので、そう呼んでいませんが、また、バリアフリーが大事だとも思っていませんが)を行うことが目的ではありません。

わたしが面白いと思った映画を皆さんと体験するということが何より大事です。

それが、日本語字幕、音声ガイド付きで上映出来るのなら、しない理由はありません。

しかし、それで、本当に、見えない、見えにくい人、聞こえない、聞こえにくい人に楽しんでもらえるのかというのは、はっきり言って全く自信がありません。自分がいくら面白いと思っていて、それに、字幕や音声ガイドがつくから、見えない人、見えにくい人、聞こえない人、聞こえにくい人にも体験してほしいと思うのは、傲慢なのではないか、思い上がりなのではないか、大きなお世話ではないかということは、企画当初から、ずっと自問しております。今も全く分かりません。正直、これで何度も苦しみました。

バリアフリーとか、本当に多様な人が楽しめる場を作るのであれば、既成の作品を観るのではなく、見えない人、見えにくい人、聞こえない人、聞こえにくい人を一緒に、一から、面白いこと、面白い場を作り上げていくことが一番だと思います。多分、そういう呼びかけにはなっていないと思います。

それでも、何らかのきっかけで、そういう方に出会いたいし、正直に言いますと、わたしが面白いと思っている映画が、そういう方にとって、どう思われるのか、非常に知りたいと思っています。何かは伝わるだろう、それだけの力を持った作品だろうということは確信していますが、それでも、大きなお世話で、ある意味迷惑な話かもしれません。

この作品を色々な人に届けたいと思って、実際に、目の見えない方や、耳の聞こえない方にお会いしました。耳の聞こえない、手話話者の人は、口の動きで言葉を読み取るので、それと全くずれる字幕を観るのは、とても疲れるし、全く役に立たないと仰っていました。また、ラジオの話にはやはり興味が持てないとも仰られていました。

確かに、耳の聞こえない人にとって、ラジオの場面は、むしろ、嫌な思いや、寂しい思いもされるかもしれません。それでも、この映画は、ラジオという舞台ではあるものの、やはりものすごく豊穣なものが写っているので、わたしは、そこは、何か伝わるものがあると思っています。観てもらえさえすれば。

そして、伝わらなくても、どんなことを感じたのか、率直に発言出来る場を設けているので、色々な感じたことを、観た人同士、互いに伝え合うことが出来ると思っていますし、そういう場を作りたいと思います。繰り返しになりますが、バリアフリーな場を作りたいのではなく、わたしが面白いと思う作品を、色々な特性の人と、一緒に体験したいのです。娯楽とは言えないかもしれませんが、全然違う視点から、一つの作品に触れた後で出てくる言葉に触れることは、どんな感情であれ、面白いはずだと思います。

こういう、強い誘い方は、あまりしませんけれど、こうして何ヶ月もかけて準備してきて、改めて、どんどん強くお誘いしたいと思うようになりました。

ぜひ、ご参加ください。

それでも人数を集めるのが目的ではないのですよ。少なければ少ないなりに密度の濃い場になります。

もう、上映用の素材が届きまして、再生チェックをしていたのですが、何度観ても本当に面白い。面白い映画だなあとつくづく思います。これをみずから映写出来るだけでも幸せです。

何かメッセージを伝えたいとかではないのですよ。これを映写したいのです。

そして、今回は、たくさんの人がスタッフとして関わってくださっていて、一緒に作り上げていく感じも、本当に楽しくなってきます。

わくわくが止まりません。


【映画『空に聞く』上映会(日本語字幕・イヤフォン音声ガイド付き)と、小森はるか監督、平塚千穂子さん(音声ガイド制作者)と共に座る座談会】」

上映会特設サイト:https://aidanokai-soranikiku.amebaownd.com

申し込みフォーム:https://forms.gle/6my6PqAmcVkhnbaU8

FBページ:https://www.facebook.com/events/1465880893981807/


■開催概要

主催・企画制作: 間の会(あいだのかい)

日時:2023年12月16日(土)

一回目上映とトーク 11:30〜13:30 二回目上映とトーク 14:30〜16:30  座談会 17:00〜19:30 (別料金)

トークと座談会ゲスト:小森はるか監督、平塚千穂子さん(音声ガイド制作者)、聞き手:間の会 西脇秀典

※各回30分前より受付開始

※日本語字幕付き、日本語イヤフォン音声ガイドに対応したバリアフリー上映。

※トーク及び座談会には、12月9日までに申し込みがあれば、要約筆起、手話通訳がつきます。ヒアリングループ設置あり。(12月6日現在、1回目の手話通訳派遣決定)

会場: 津市市民活動センター 研修室(津センターパレス 地下1階)

参加費:映画各回:1000円(介助者無料)、高校生以下 500円 、サポート割 500円 (経済的に困っている方対象、自己申告制、証明書不要) 座談会:500円(介助者無料)

※当会は普段の活動にも様々な障害のある方にもご参加いただいておりますが、より現実に即して、障害者割引ではなく、サポート割という料金を設けました。

※映画各回定員40名、入替制 ※座談会定員20名ほど

参加申込先: aidanokai2015@gmail.com 090-9107-9601(間の会 西脇)またはHPの申し込みフォーム

後援:三重県、三重県教育委員会、三重県社会福祉協議会、津市、津市教育委員会、津市社会福祉協議会

協賛:公益財団法人 反差別・人権研究所みえ

協力:シネマ・チュプキ・タバタ、NPO法人 ピアサポートみえ



長くなりますが、チラシの裏面に掲載した文章をこのメールにも載せておきます。


「聞く」と「見る」のあいだに 〜映画『空に聞く』を自主上映という仮設の映画館で上映する


四年前に映画『息の跡』の自主上映会を行った翌日、愛知トリエンナーレで上映された『空に聞く』を観ました。それ以来、名古屋、大阪、京都など、上映されるところに何度も足を運ぶようになりました。取り憑かれたように、繰り返し観てしまう作品です。タイトルは『空に聞く』ですが、映画から聞かれているかのように感じます。それは全く居心地が悪いのではなく、逆に、聞かれていることで、私は安心して、そこにいられると感じます。この映画を観ていていいのだと、その都度思います。しかし、ただ観ているだけでいいのか、とも思って、何度か東北に向かおうとしました。けれど、それは実現しませんでした。それよりもまず、この作品を上映する方が先だと思いました。たくさんの人に、これまで何度もお薦めしてきましたけれど、それだけでは足りませんでした。

この作品は、東日本大震災の被災体験や、復興の体験をしている人たちを撮影した映画ではありますが、そういう風に一口に言えない、テーマに還元されない何かが、とてつもなく豊穣なものとして伝わってきます。わたしはそれが何なのか何度観ても、明確に分かったとは言えません。しかし、引き込まれる。そして、安心するし、懐かしい。だから、多くの人と一緒に観たい、そして、出来ることなら、この映画を観たという体験を通して、その体験の後に、皆で、その時間を過ごしたいと思います。この映画は、集まって観られることによって、映画になるような映画だと思います。配信やTVで観ても、この「映画」という体験は生まれないでしょう。そういう確信があります。映画には、物語のあるものも、ないものもありますけれど、何より、映っているもの、録音されているもの、映画の映像や音そのものに、人が集って触れるということが最大の醍醐味だと思っています。私は、よく分からないけれど、毎回、この映画にびっくりします。まずは、その驚きがあるから、自分で上映したいという、止むに止まれぬ欲求が生まれてくるのです。

『空に聞く』は、陸前高田の災害FMが、作品の主な舞台となっています。そのパーソナリティの阿部裕美さんという方が主人公です。その阿部さんの語り口、そして、話の聞き方が、あまりにも魅力的で、どの番組も素敵で、本当に、自分が住んでいる町にも、こんなラジオがあったらいいなと思います。登場する人々の関係性にも惹かれます。しかし、ラジオというのは、言わば、音しか聞こえないものです。今回の上映は、日本語字幕と、日本語イヤフォン音声ガイド付きの上映になります。これはこの作品の現状としては実はまだかなり特別な上映で、東京のユニバーサル映画館『シネマ・チュプキ・タバタ』が独自に制作した音声ガイドをお借りして行います。『シネマ・チュプキ・タバタ』以外では上映されていないものです。本来、どんな映画にも字幕や音声ガイドがついていて欲しいですが、低予算の作品では、そうも行かないことがあります。何故そういう上映をしたいかというと、目の見えない、見えにくい方や、耳の聞こえない、聞こえにくい方にも、触れてほしいからです。ラジオを背景にして、そのパーソナリティを主人公にしているので、まず、音声が非常に魅力的だということがあります。そして、そればかりではなく、映像表現が素晴らしく、これに、私はいちいちびっくりするし、心揺さぶられます。この映画、見えないはずのラジオが映っている、とも感じるのです。小森監督自身がこのように書いておられます。

「カメラには写すことのできないものたちが、人々の懐かしみながら語る声や、それを聞く阿部さんの表情から、見えないけれど伝わってくるのです。それを映像で表現したいと思いました。」小森はるか「Director's statement」より

写すことのできないものたち、とは何でしょうか。私は、多分、この、写すもののできないものたち、に魅了されているのです。もちろん、その映像や音を通じてです。ラジオが映っているとも書きましたが、それ以上に、ここには、カメラやマイクを向けられた人たちの、人たち同士や、あるいは、カメラやマイクを向けている人との間の、関係とか距離とか、そういう微細なものが現れているように思います。そして、そこから、もうそこにはいない人のことも現れてきます。簡単に言葉に出来るものではないですが、映画を体験する上での最もスリリングな何かだと思います。映画は恐ろしいもので、様々な関係を写しとってしまいます。そこで、観るものは、ドキドキしながら、それを追体験することになります。

人にカメラやマイクを向けることは、とても暴力的なことでもあると思います。今、映画や芸能の世界で起こっている虐待などの問題も、カメラやマイクの暴力性と地続きだと思っています。本作の小森監督は、そのことにとても敏感で、慎重に丁寧に最終的に映画に残す映像や音を選んでおられるように思います。そんな作品が耳の聞こえない方、聞こえにくい方、目の見えない方、見えにくい方に、どのように感じられるのか、とても知りたいのです。

震災を体験した人ばかりでなく、最近では、今まさに、戦争に巻き込まれている人や、あるいは、身近にも、たくさんの辛い体験や、苦しい思いを抱えた人がおります。そういう人と、どう接したらいいか戸惑うことがあると思います。そういう戸惑いと似たような、何とも言えない手触りが、この映画にはあるように思います。

自分には分かり得ない体験、他人の体験というのは、確かに自分には分かり得ないのですけれど、その分かり得なさを、映画として体験出来る部分がこの映画にはあるのではないかと思うのです。分かり得なさに対する敬意のような何かです。

そうした、他者の分かり得なさを、更に、監督した小森さんと、音声ガイドを作られた平塚さんと、共に、座談会で話し合うことで深めたいのです。それは、映画を通じて他者と出会いたいと言い換えてもいいかもしれません。

このところ、ミニシアターと呼ばれる小規模の映画作品を上映する映画館が、相次いで閉館して行っています。だから映画は家で観るものになって行くのかというと、そうではないと思います。自主上映会など、仮設の映画館を作って上映して行って、初めてそこに映画が生まれるのではないでしょうか。

私は、普段から、色々な人が、いっとき、役割や地位や立場や特性、属性などから離れて、ただ一人の人として集うという活動を行っています。何より「集う」ということが中心的な活動です。集うというのは、それぞれの眼差し、聞く耳が交錯するということだと思っています。そういう場所にこそ映画があったらいいなと思います。映画はむしろ「集う」ことによって映画になっていたのではないでしょうか。だからこそ、集う場に、映画を置いてみたいのです。

『空に聞く』の分からなさと魅力とは、ある意味で、本質的な他者の分からなさと魅力に通じるのかもしれません。「聞く」と「見る」のあいだに奇跡的に成立している作品であり、そして、だからこそ、人と人を出会わせる力を持っているのではないでしょうか。人が集って観るのに、これほど相応しい映画はないと思います。

西脇秀典(間の会)



以上の件、すべてお問い合わせ、ご連絡先は、

● メール:aidanokai2015@gmail.com 間の会 西脇秀典です。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。   

2023年12月9日   間の会  西脇秀典


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